断言するコンサルタントを信用してよい?専門性と根拠を確かめる

営業・交渉
Psychology Laws 編集部

コンサルタントから「この施策なら必ず成果が出ます」「3か月後には問い合わせが30%増えます」と断言されると、専門家が自信を持っているのだから正しいのだろうと感じることがあります。一方、言い切り方が強いほど、かえって不安になる人もいるでしょう。

判断するときは、断言の強さだけで信用・不信用を決めず、何について言い切っているのか、根拠は何か、自社でも成り立つ条件は何かを確かめます。専門家の経験は参考になりますが、経験があることと今回の成果を保証できることは同じではありません。根拠と未確定の点が明らかになれば、採用、追加調査、小規模な検証、見送りのどれが適切かを考えられます。

自信のある説明を、根拠まで確かめた気持ちになりやすい

説明用の仮の場面です。営業部門の責任者が、問い合わせ数の改善を提案するコンサルタントと面談しています。コンサルタントは「これまで多数の案件を支援しました。御社も広告と問い合わせフォームを見直せば、3か月後に問い合わせが30%増えます。間違いありません」と話しました。説明は明快ですが、比較した企業の条件、測定方法、自社の予算や実行体制については、まだ聞けていません。

助言を受けるとき、人は話し手の確信の強さを、その助言が正しい可能性を示す手がかりにすることがあります。Sah・Moore・MacCoun(2013)は、助言者の自信と正確さが評価に及ぼす影響を2つの実験で調べました。実験では、写真から人の体重を見積もるといった数値判断の課題を使っています。1つ目の実験では、助言が正確な人は自信を示すことで信用評価を高めましたが、自信満々でも不正確な助言者の信用評価は低くなりました。Sahら(2013)の大学掲載の研究要旨

しかし、2つ目の実験では、助言者の正確さを確かめる結果情報が手に入らない、または手に入れるために費用がかかると、正確さにかかわらず自信の強い助言者が影響力を持ちました。助言者が強い自信を示すほど、参加者は正確さを調べようとする努力も減らしました。Sahら(2013)の研究要旨

つまり、正確さを確かめられない状況では、強い言い方そのものが判断の手がかりになり得るのです。ただし、この研究が調べたのは数値を推定する実験課題であり、企業向けコンサルティングの成果や契約の適否ではありません。強く断言したからといって、その人物が誤っていると結論づけることもできません。

Tenney・Spellman・MacCoun(2008)は、自動車事故について対立する2人の目撃者の証言を比較して信用度を判断する2つの実験を行いました。単に自信が強いか、発言が正確だったかだけでなく、その人が自信を示した箇所と、実際に正しかった箇所がどれだけ合っているかが信用評価に関わりました。Tenneyら(2008)の論文要旨

こちらも証人の評価であり、コンサルタントの能力を測定した研究ではありません。仕事での応用としては、過去に「必ずできる」と予測した結果がどうなったか、間違えた場合に条件や見通しを見直しているかを確かめる考え方につながります。自信と実際の正確さのずれについては、過信バイアスの解説でも詳しく扱っています。

一方、慎重な説明をする専門家が必ず優秀とも言えません。LøhreとTeigen(2024)は、意思決定するリーダーの発言に対する評価を複数の実験で調べました。「私はどちらがよいか確信がありません」と自分の迷いとして示す場合と、「どちらがよいかは不確実です」と状況の不確実さとして示す場合では、後者のリーダーの方が有能だと評価される傾向がありました。一方、自分の迷いとして伝えた方が、正直であるという評価を得る結果も見られました。Løhre・Teigen(2024)の原著論文

これはリーダーの印象に関する研究です。「不確実です」と言えば提案内容が正しくなるという結果ではありません。言い切るかどうかだけでなく、分かっていることと、不確かさの理由を説明できるかを見る必要があります。

「必ず成果が出る」を、確かめられる主張に分ける

先ほどの仮の商談で「3か月後に問い合わせが30%増える」と言われた場合、次の点はまだ別々に確認する必要があります。

コンサルタントの説明 今の説明だけでは分からないこと 確認する材料
「3か月後に30%増えます」 どの月・どの問い合わせを、何と比較して増加とするのか 対象指標、現在値、比較期間、予測を作った計算
「他社でも成果が出ています」 成功例だけを示したのか、自社と似た案件の結果なのか 対象企業の条件、対象案件の数、未達の例、測定方法
「この施策で改善できます」 改善を施策だけによるものと判断できるか 導入前後の違い、比較できる対象、季節・広告費など他の変化
「責任を持って対応します」 実施を約束するのか、成果まで契約上保証するのか 作業範囲、担当者、追加費用、未達時の対応、契約条件

例えば、直近の問い合わせ数が月100件なら、「30%増」は月130件に相当します。ただし、これは計算の意味を示した仮の数字で、実際に30件増えるという予測の根拠ではありません。自然検索と広告経由のどちらを数えるか、毎月の数字か3か月合計かによっても、判断する内容が変わります。問い合わせが増えても、それがそのまま売上や利益の増加になるわけではありません。

こうして断言の中身を分けると、「資料で確かめられた事実」「今あるデータから計算した見通し」「これから実施すると約束している作業」を混同せずに済みます。

専門性と提案の根拠を、4つの観点から確かめる

以下は研究で直接効果を確かめたコンサルタントの選定手順ではなく、助言の正確さと自信を分けるという知見を参考にした実務上の提案です。

  1. その専門性が今回の課題に合うか。支援経験のある業種、企業規模、扱った施策、実際の担当範囲を確認します。別の分野で高い実績があっても、今回の集客や業務運用の条件で同じ結果を出せるとは限りません。肩書きや資格だけでなく、今回どの判断を担えるのかを聞きます。
  2. 予測の数字をどう作ったか。現状の問い合わせ数、実施できる改善項目、過去の類似案件の結果など、どのデータを使い、どの仮定を置いたかを尋ねます。成功した事例だけが示された場合は、対象とした案件全体や、目標に届かなかった例の扱いも確認します。秘密保持のため詳細を示せないなら、判断に必要な集計や条件を説明できるか相談します。
  3. 何が変われば予測も変わるか。広告予算、担当者の作業量、顧客層、時期など、前提にした条件を確認します。達成の可能性や予測の幅を示せるかも聞きます。正確な確率を計算できないなら、無理に数字を作らず、分かっている条件と未確認の条件を分けてもらいます。
  4. 誰が何を実行し、結果をいつ確かめるか。コンサルタントの作業と自社側の担当、契約費用、追加費用、測定時期、成果が想定を下回った場合の対応を確認します。「施策を実施する約束」と「結果を保証する約束」は区別し、契約書の範囲と一致させます。

過去の案件で成果を出した事実が確認できれば、専門性を評価する材料になります。しかし、今回と条件が違う、成果が出た案件だけを選んでいる、結果に影響した別の要因を検討できない場合には、将来の予測の確かさをその実績だけで決められません。

過去の実績と今後の予測を、どう比べるか

特に強い断言を評価するなら、過去にどのような見通しを示し、その後どのような結果になったかを比べられると役立ちます。例えば説明用の仮の記録として、次のような情報を整理できます。

記録すること 確認する内容
予測を示した時点 いつ、何か月先の、どの成果を予測したか
予測の条件 当初の予算、対象者、実施範囲など何を前提にしたか
実際の結果 予測と同じ指標・期間で測った値と、未達・中止案件の扱い
予測が外れた場合 条件が変わったのか、想定自体を見直す必要があったのか

1件の成功例があれば「この人の予測はいつも当たる」と決められるわけではありません。複数の比較可能な案件について、当初の見通しと結果を見られる方が判断材料になります。一方、過去の環境が違えば、実績が一致していても今回の成功を保証するものにはなりません。

また、契約後の数値が増えたとしても、その変化がすべてコンサルタントの施策によるとは限りません。景気や時期、広告予算、社内の営業体制なども変わることがあります。何と比べれば効果を確かめられるのかについても、契約前に相談しておきます。

商談での質問と、回答によって変わる判断

断言する相手を最初から疑うより、「どこまでは確認済みで、どこからが予測ですか」と尋ねる方が、判断するための情報を得やすくなります。次は説明用の仮の会話例です。

「3か月後に問い合わせが30%増えるという見通しについて、現在値と比較期間、参考にした案件の条件を教えていただけますか。どこまでが過去の実績で、どこからが当社向けの予測でしょうか。また、予測が成り立つために当社が行う作業と、未達だった場合の見直し方も確認したいです」

回答を受けたら、次のように判断できます。

  • 根拠が確認でき、条件も自社に近い場合:提案を候補として評価し、費用・作業負担・契約条件を他案と比べます。予測と違う結果もあり得るため、測定方法と途中の見直し時期を決めます。
  • 根拠はあるが、自社への当てはめに不明点がある場合:不足するデータを確認するか、可能なら対象や期間を限定して試します。小規模な検証でも全社展開の成果が保証されるわけではないため、試す範囲と終了条件を先に決めます。
  • 数字の根拠が示されず、重要な条件も確認できない場合:実績資料や前提条件、契約上の約束を追加で求めます。それでも判断に必要な情報が得られないなら、強い断言だけを理由に契約を決めず、見送りや別案を検討します。
  • 慎重な説明でも、根拠と限界が明確な場合:言い切らないことを理由に候補から外さず、同じ項目で比較します。不確かな点を説明できることも、実務上の判断材料です。

求めたいのは、自信のない説明でも、断言でもありません。自社の条件で何が分かり、何がまだ確かめられず、どこまでを約束してもらえるのかを説明できる提案です。その内容で比較すれば、コンサルタントへの好印象や自信の強さと、採用の判断を切り分けられます。

参考文献・出典

  • Sah, S., Moore, D. A., & MacCoun, R. J.(2013)“Cheap talk and credibility: The consequences of confidence and accuracy on advisor credibility and persuasiveness.” Organizational Behavior and Human Decision Processes, 121(2), 246–255. University of California, Berkeley掲載の研究要旨。助言の自信・正確さと評価の関係、および正確さを確かめる情報を得にくい条件に関する2実験の根拠。
  • Tenney, E. R., Spellman, B. A., & MacCoun, R. J.(2008)“The benefits of knowing what you know (and what you don’t): How calibration affects credibility.” Journal of Experimental Social Psychology, 44(5), 1368–1375. 出版社掲載の論文要旨。目撃者の証言について、発言の正確さと確信の強さの対応が信用評価に関わることを検討した2実験の根拠。
  • Løhre, E., & Teigen, K. H.(2024)“When leaders disclose uncertainty: Effects of expressing internal and external uncertainty about a decision.” Quarterly Journal of Experimental Psychology, 77(6), 1221–1237. 出版社掲載の原著論文。リーダーが個人的な迷いとして述べる場合と状況の不確実さとして述べる場合の、有能さと正直さの評価の違いに関する根拠。